PINGが展開するジュニア向けブランド
『Prodi G』の新モデルが登場しました。
「G」シリーズで培ったテクノロジーを
ジュニアゴルファー向けに最適化し、
成長過程に合わせた
さまざまなスペックを用意するなど、
PINGが注力しているシリーズとなっています。
今回、ピンゴルフジャパン・
プロダクトマネージャーの安齋伸広が、
日本/アジアのプロジェクトエンジニア
兼デザインエンジニアのエヴァン・グリアーに
新ジュニアクラブ誕生背景を聞きました。
PING USA デザインエンジニアエヴァン・グリアー
日本/アジアのプロジェクトエンジニア兼デザインエンジニア。「G430アイアン」「BLUEPRINT T」などのデザインを手掛ける。大学時代もゴルフ部で過ごした熱血ゴルファー。
PING GOLF JAPAN
プロダクトマーケティングマネージャー安齋伸広
プロダクトマーケティングマネージャーとして、11年に発売された『G20』シリーズからPINGが発表する多くの製品に携わっている。
安齋:ジュニア向けのクラブを開発する上で大切なことは何ですか?
エヴァン:ジュニアゴルファーがゴルフを学び、成長する過程で最も大切なのは“クラブに合わせた打ち方”をさせないことです。これは多くのジュニアコーチや指導者へのヒアリングを行い、製品開発に携わるメンバーが実際にジュニアのコーチングや教育を行う過程で気づいたことです。
安齋:それはなぜでしょう?
エヴァン:自分の体格やパワーに対して長過ぎたり、重過ぎるクラブを使うと、パフォーマンスが低下するばかりか、技術の向上を妨げる原因になるからです。成長するに連れて、適切な長さ、バランス、シャフト重量、ライ角は変化していきます。自分の体格に合った適正スペックのクラブを使うことで、効率的なスイングの習得が可能になりますし、ベストスコア更新といった成功体験につながると考えています。ゴルフが持つ楽しさを知ることにも役立つはずです。
安齋:クラブ開発を進めるにあたり、ジュニアゴルファーのプレーヤーテストをかなり行ったようですね。
エヴァン:PINGの米国本社があるアリゾナ州のジュニアゴルファーを対象に、プレーヤーテストを行いました。5~14歳の幅広い年齢のジュニアが対象で、さまざまな身長、スキルのプレーヤーの弾道を分析することで、改めてジュニア向けクラブに必要な要素が見えてきました。そして完成した新しい『Prodi G』は、ゴルフに真剣に取り組むジュニアゴルファーにとって最高のクラブに仕上がっています。
安齋:ジュニア用クラブと聞くと、初心者用セットに近い印象を持たれる方も多いですよね?
エヴァン:『Prodi G』のクラブはすべてのジュニアゴルファーが使用することを前提に100%カスタムメイドされています。ドライバー、フェアウェイウッド、ハイブリッド、アイアン、ウェッジ、パターをそれぞれのゴルファーが必要な本数を自由にセッティングすることができますし、クラブ長やライ角も細かく調整することが可能です。
安齋:スペックが固定されている初心者用セットとは根本から違いますね。
エヴァン:新しい『Prodi G』は6~13歳のジュニアゴルファーを対象としたシリーズになっています。前作よりも幅広い年齢層に対応するため、スペックの幅をさらに広げました。ジュニアゴルファーは身長も違えば、ヘッドスピードも大きく異なりますので、さまざまな選択肢を用意することがとても大切です。例えばシャフトフレックスも、ジュニア向けクラブではワンフレックスのことが多いですが、『Prodi G』では初心者向けのRフレックスと年齢が上のジュニアに向けたSフレックスを用意しています。
安齋:クラブをカスタムできる幅はかなり広がりましたよね。ドライバーでは35.25インチから42.5インチまで0.25インチ刻みでシャフト長を選択することができます。ピンゴルフジャパンでは世界で唯一「直営店」を展開していて、大阪、みなとみらい、武蔵浦和、秋葉原、新宿の5店舗で無料フィッティングを受けることが可能です。
エヴァン:新たにリリースされる「WEBFIT JUNIOR」も非常に優秀ですよ。ジュニアゴルファーの身長や床から手首までの高さ、ドライバーの飛距離やスキルなど、簡単な質問に答えていくだけで、PINGのフィッテイングを受けた場合と同じようにクラブを推奨してくれます。結果ページでは、すべてのクラブの長さやライ角、クラブセッティングが提案され、ユーザーは希望のクラブ本数を入力して、番手ごとのギャッピング(飛距離差)をシミュレーションすることもできます。ジュニアゴルファーの親御さんが、番手ごとの最適なギャッピングを理解することにも役立つでしょう。
安齋:『Prodi G』のシリーズ名の由来は英語の「Prodigy(天才・神童)」とPINGの「G」シリーズをかけ合わせたものです。新しい『Prodi G』にも「G」シリーズで培った最先端のテクノロジーが投入されていますね。
エヴァン:ジュニア向けクラブと言っても、製造工程は「G」シリーズなどと同じで高品質なものに仕上げています。その上でドライバーは前作よりも8%薄いチタンフェースを採用して反発力を高め、慣性モーメントも向上しています。ヘッドスピードを高めるための工夫として、空力をコントロールする「タービュレーター」や「ボーテック」も備えています。
安齋:最新モデルでは「スピンシステンシー・テクノロジー」も取り入れられていますね?
エヴァン:その通りです。『Prodi G』のドライバーにはジュニア用に最適化された「スピンシステンシー・テクノロジー」を搭載していて、フェースのバルジとロールを調整することで最適スピンの弾道が得られるようになっています。実は、ジュニアゴルファーにとって大切なのは適正な打ち出し角が得られることです。そのため、『Prodi G』ではドライバーのロフト角を15度に設定し、低・深重心化によってボールを高く打ち上げられるようにしました。最適な打ち出しと最適なスピンによって、ジュニアゴルファーの飛距離は間違いなく最大化されるはずです。
安齋:『Prodi G』ではジュニアゴルファーに合わせたロフト設定となっています。フェアウェイウッドは22度、ハイブリッドは28度に設定されていますが、ここにはどんな意図があるのでしょうか。
エヴァン:フェアウェイウッドは地面から打つ最長のクラブです。ジュニアゴルファーの場合、使用頻度も多くなるため、球が上がりやすい22度にロフトを設計しました。同時に「G」シリーズでツアープロからも好評を得ている低重心設計によって、地面からでもしっかり高い球が打ててキャリーが伸びるクラブに仕上げました。ドライバーとフェアウェイウッドは、前作よりもヘッド重量を少し軽くして、スイングスピードを上げやすくしていることも特徴になっています。
安齋:フェアウェイウッドの次にシャフトが長いハイブリッドは前作に比べて、ロフトを1度寝かせていますね。
エヴァン:ジュニアゴルファーのヘッドスピードでは、6番アイアンより上の番手では十分な高さとスピン量を確保するのは困難です。そこで重要になるのがハイブリッドです。フェアウェイウッドと6番アイアンのギャップを埋めるために、ロフトは28度が最適と分かりました。ヘッド性能的にも地面から簡単に打てて、適切なギャッピングを作り、十分なスピン量が確保できるようにしています。フェアウェイウッド以上に頻繁に使用するクラブですから、やさしく飛ばせることがとても大事になるのです。
安齋:新しい『Prodi G』ではアイアンのロフト設定が大幅に見直されていることが印象的でした。デザイン的には現行の『i230』に近いものになっていますね。
エヴァン:アイアンのギャッピングはとても重要なので、プレーヤーテストを重ねながら最適なロフト設定を探りました。結果、6番は前作よりもロフトを1度立てて31度としましたが、7番から下は2~3度ロフトを寝かせています。サイズ的には『i230』と『G430』の中間の大きさになりますね。ヘッド構造では「CTPウェイト」の存在が重要で、細かな調整を重ねて、低重心化を実現しました。前作よりもボールスピードが向上し、簡単に高さが出るようになり、ロフトを寝かせたにも関わらずキャリー飛距離は前作よりも伸びています。
安齋:ウェッジも前作よりロフトが寝ていますよね。52度と56度の組み合わせから54度と58度に変わっています。
エヴァン:ギャッピングを作る上で54度と58度という組み合わせは優秀ですし、ジュニアゴルファーの感性を磨く上でも非常に有効です。今回は58度に『s159』のテクノロジーを取り入れ、ソールにはツアーで人気のHグラインドを採用しました。1本のクラブでさまざまなショット、アプローチを打ち分けることができ、グリーン周りのフェースコントロールを向上させることができます。また、ジュニアゴルファーのヘッドスピードだとバンカーに苦戦することも多いですが、Hグラインドはフェースを少し開いたときにヒール側から打ち込みやすく、ソール幅もあるのでヘッドが潜りすぎず、抜けも抜群にいいので、バンカーショットの習得にも最適なソールになっています。
安齋:パターは伝統的なヘッドの『ANSER』とツノ型マレットの『TYNE H』が用意されました。この2モデルを選んだ意図は何でしょう?
エヴァン:パッティングの際にジュニアゴルファーがより集中できるアライメントを持ったヘッドを厳選しました。そして、『ANSER』と『TYNE H』の特徴は、どちらもセミアークタイプのヘッドだと言うことです。トゥ側が少し開閉するイン・トゥ・インのストロークがしやすく、パッティングで重要なフェース向きを感じ取りやすくなります。その他にも、あえて削り出しの溝なしフェースを採用するなど、ストロークなりのボールが出るように調整しています。『Prodi G』のパターを使うことで、感性が磨かれ、たしかな上達につながるはずです。
安齋:前作の『Prodi G』からスタートした「PINGジュニアサービスプログラム」は日本でも好評でした。
エヴァン:『Prodi G』を5本以上購入した方を対象に、ジュニアゴルファーが成長したタイミングでクラブ長の延長やライ角の調整を1回無償で行うプログラムですね。もちろん新しいシリーズでもこのプログラムは継続していますので、ぜひ活用してほしいです。
安齋:成長の度にクラブを新しく購入するのは経済的な負担も大きくなりますから、無償でのスペック変更はユーザーにとってメリットの大きいものだと思います。
エヴァン:『Prodi G』は、クラブを延長したり、ライ角の変更を簡単にできるように作っています。ジュニアゴルファーの成長に合わせて最適なスペックに合わせることは大切ですから、クラブメーカーとしてこういったオプションを提供することは非常に重要だと考えています。ぜひジュニアゴルファーの皆さまには、適切なクラブ選択を理解し、最適なスペックのクラブでゴルフのプレーを楽しんでほしいですね。
安齋:今日はお話を聞かせていただいて、ありがとうございました。ピンゴルフジャパンでは独自に、定額料金での『Prodi G』のサブスクレンタルサービスをスタートします。購入する前にコースで試していただくことができますし、月額を支払うことで長期レンタルも可能ですので、ぜひ活用を検討していただきたいです。また、「WEBFIT JUNIOR」の結果に合わせたカスタムクラブをCLUB PINGの特設専用サイトですぐに購入できるようにもなりますので、新しい『Prodi G』はよりジュニアゴルファーにとって身近なクラブになるはずです。